手話のこと
手話については、とても深いので私がエラそうにいうことはできません。
でも、例えば初めて手話を学ぶ方や手話に関心のある方、また私が担当している学生さんたちの役に立てるといいな・・・との思いから、自分の知っている範囲のことだけ書かせて頂きますね(*^^*)
日本手話
- 手話を母語とする、耳の聞こえない人のことを「ろう者」といいます。
- 母語とは:幼児期に最初に獲得した言語のこと。一番使いこなしやすい言語でもあります。
- ろう者は生まれてすぐ、または幼い頃失聴した人たちで、言語獲得の前に失聴したので、彼らの母語(第一言語)は日本語ではありません。
- ろう者の母語(第一言語)を「日本手話」といいます。
- 日本手話は、自然言語の一つです。
- 自然言語とは:社会の中で自然に発生し、自然に用いられている言語のことです。人為的に規定された人工言語に対していう語です。
- 日本手話は、日本語を置き換えたものではなく、日本語とは語彙も文法も異なる独自の言語です。
- 日本手話には「手指動作」(手の動き)と「非手指動作」(NMS:Non-Manual Signals)
があります。 - 「手指動作」(手の動き):主に単語を表します。
- 「非手指動作」(NMS:Non-Manual Signals):うなずき・表情・眉の上げ下げ・視線・上体の動きなどで、文法的要素を表します。
- 私が手話を習い始めた頃は、「手話には助詞がありません」と言われました。
でも実はそうではなく、日本語の助詞にあたるものは、日本手話では「非手指動作」(NMS:Non-Manual Signals)として表出されます。
◆日本語対応手話
- 「手話には日本手話も日本語対応手話もない」という考えの方もいらっしゃると思いますがここでは一応分けて書きます。
- ある程度成長してから失聴した人(中途失聴者)や難聴の人で、すでに言語を獲得してから聞こえなくなった人たちにとっての母語(第一言語)は日本語です。
- この方たちの使う手話は、日本語対応手話といって日本語に近いものとなり、手話単語を日本語の語順に配置します。
指文字
- 手話の単語として表せないもの(例えば人名とか地名など)は、指文字で表されます。
- 指文字とは、日本語の50音を手の形に置き換えて表す「表音記号」です。
- 1960年頃までは、日本の手話話者の間では指文字はまだポピュラーではなかったそうです。少なくとも関東では、手話と空書きの組み合わせが普通だったようです。
- 指文字が手話話者の間でブームになったのは、1962年頃からとのことです。
◆手話の数
- 手話は世界共通ではなく、国や地域ごとに独自の手話が話されています。
- 2000年現在、世界で114の手話の存在が確認されているとのことです。
(「月刊 言語」大修館書店 他より)