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ガンが治る健康食品!?(手話通訳経験談6-2)

「手話通訳経験談6-1」で書かせて頂いた、医療セミナーの手話通訳の続きです。
第1部のお医者様のお話では、感動して思わず涙が出てしまいました。

続いて第2部は、セミナーの主催者である健康食品のメーカーの、商品購入者の体験談だったのですが・・・
セミナーには10名くらいのろう者がいらしていて、皆さん熱心に通訳を見ていて下さいました。
私も、「この方たちにキチンと伝えたい!」との思いで、懸命に通訳をしていました。

しかし、その内容が「この健康食品を食べたら、ガンが治りました!」「病院で『絶望的』と言われた脳腫瘍が消えてなくなりました!」という話でした。

本当のことかもしれないけれど、私にはどうしても信じられなくて・・・。でも私は通訳の立場なので、その言葉をそのまま通訳しなければなりません。

私の通訳を見ているろう者の方々の目が、キラキラと輝いて「すごいね~」とお互いに話している様子を見て、私は心の中で「う~ん」とうなっていました。
もちろん本当にその健康食品で治ったのかもしれませんが、私としてはどうしても納得がいかなくて。自分が納得いかないことを、伝えなくてはいけなくて、モヤモヤした気持ちが残りました。

第1部のお話が感動的だっただけに、余計にスッキリしないまま通訳を終えました。
手話通訳は、聞いたことをそのままキチンと伝えなければなりません。その点では無事に仕事を終えられたのですが、でも釈然としない気持ちが残りました。

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