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直接法

 19世紀以後のヨーロッパでの、「文法翻訳法」に代わって生まれた教授法の総称。
文法翻訳法の目的は、「目標言語で書かれた文学作品が読めるようになること」だったが、19世紀のヨーロッパ諸国では人々の往来が盛んになった。そのため外国語でコミュニケーションをする機会がふえた。

 それにともない、今までのように「文学作品を読めるようになること」ではなく、実用的な
成果が求められるようになった。

<直接法とは?>
現在「直接法」というと、「媒介語を使わずに教える」という意味で使われることが多い。
しかし、教授法の歴史に見られる直接法とは「翻訳を介さないで、言語を理解すること」を目標とする教授法の総称である。

意外に思われるかもしれないが、「直接法」の中には、媒介語の説明を前提とする教授法もある。
<直接法の種類>
この時代の直接法には、「ナチュラル・メソッド」を含め、大きく分けて3つの教授法がある。
1)ナチュラル・メソッド

  • natural method. 自然主義教授法。幼児の母語習得が、外国語習得の最良のモデルと考える。
  • 代表的なものに「グアン式教授法」と「ベルリッツ・メソッド」がある。
a)グアン式教授法
  • フランス人 グアンが提唱した教授法。幼児が母語を習得する過程を外国語教育に応用した。
  • 媒介語(多くは学習者の母語)による説明や指示が前提とされている。

  • 幼児の心理的発達に注目することから「サイコロジカル・メソッド(Psychological Method)」また、一つの動作を小さい出来事の連鎖としてとらえるために「シリーズ・メソッド(Series Method)とも呼ばれる。
b)ベルリッツ・メソッド
  • ドイツ人 ベルリッツが提唱した教授法。日本各地にもある外国語学校「ベルリッツ」の創始者。グアンと同じく、幼児が母語を習得する過程を外国語教育に応用した。しかし「グアン式教授法」との違いは「ベルリッツ・メソッド」では「媒介語の使用を厳しく禁止」している。学習者の母語による文法説明は行わず、教師は絵や身振りを駆使して、文や語の意味を理解させようとした。
2)フォネティック・メソッド
  • phonetic method.音声学的教授法。
  • 言語とは、音声言語が一義的なものであり、文字言語は二次的なもの、つまり付随的なものという音声重視の教授法。音声学者 ヴィエトーが主張し、言語学者のスウィート、イエスペルセンらが発展させた。
3)オーラル・メソッドド
  • oral method. 20世紀にパーマーが提唱した。
  • 言語には2つの側面、「体系」と「運用」があると考えた。

  • さらに「運用」のための技能を「第一次技能(話す・聞く)」と「第二次技能(読む・書く)」に分類し、「第一次技能(話す・聞く)」の習得が重要と考えた。
  • また、幼児の母語の習得を外国語習得に応用するために、次の5つの習性(The five speech-learning habits)を発見した。
  • ①耳による観察 ②口による模倣(口まね) ③口ならし ④意味づけ ⑤類推による作文
    ロンドン大学で教えていたパーマーは1922年に日本の文部省の招きで、英語教授顧問として来日し、1936年に帰国するまで英語教育の普及につとめた。