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大学講義での手話通訳(手話通訳経験談12)

 私は大学で聴覚障害の学生さんのために、講義の手話通訳をさせて頂くようになって、3年目になりました。
 最初は本当にドキドキドキドキしていましたが、今ではとても楽しく感じられるようになりました。
もちろん大学の講義をキチンと手話に換えて伝えるというのは、本当に難しいことで、「これでいい!」というゴールはないのですが、自分も講義に出て勉強させて頂けて、本当にありがたいなぁと思います。
自分が大学時代は、応援団バトン部(東京六大学野球のチアガール)の活動一筋で、授業は出席カードを出すために出るようなものでした。(先生方、ごめんなさい!)でも社会人になると、改めて「学ぶことって楽しいな♪」と思います。
 最近は講義の中で、学生同士のディスカッションの時間が与えられることが多いです。多くの聴者の学生さんは、手話通訳がいることに慣れていないと思うので、手話通訳がいることで意見を言いづらくなることがないように気を配ります。また、ディスカッションの通訳でみんなの意見を聞いていると、つい自分も意見を言いたい衝動に駆られることがありますが、もちろん手話通訳が自分の意見を言うことはできませんので、そういう時は、お口を「ミッフィー」にして(笑)我慢します。
 講義の通訳をしていて、いつも思うことがあります。聴者の学生さんは先生のお話を聞きながらノートを取ることができますが、聴覚障害の学生さんの場合、手話を見ながらノートを取ることはできません。どうしても手話通訳を見て、それからノートを取って、また顔をあげて手話通訳を見て、ノートをとって…の繰り返しになります。その分情報が不足することがないよう、気を配ります。

 3年目になると、なんだか母のような気持ちになり、「この学生さんが社会に出た後も、困ることなく十分に自分の力を発揮できる仕事ができるといいな」とひそかに祈っています(^-^)

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